次世代ファイルシステム

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次世代ファイルシステム

次世代ファイルシステム

ファイルシステムとは

コンピュータ上で、ファイルを保存・管理するためのシステムのことをファイルシステムといいます。

●データ復旧:トップ > メディア解説 > ファイルシステムについて
https://www.rescue-center.jp/explanation/filesystem/

ファイルシステムと一言で説明すると、データをどのように管理するのかを定めたルールです。
例えばレコードやCD、書籍やゲームなどを大量に所有している方は、何らかの方法で整理整頓をされているでしょう。専用の棚やラックで整理したり、ラベリングをしたり、管理用の台帳を作ったりするときに棚の大きさや数、ラベリングのルールまで様々な決めごとがあるわけですが、それらの管理方法を総称するものがファイルシステムとなります。

また、このファイルシステムには取り扱えるボリュームや、フォルダやファイルの数やサイズなどの制限が存在します。これらは上記の例だと、棚やラックのサイズの限界以上のものは物理的に納めることができないというのと同じ事情になります。

ファイルシステムを介することで、ユーザーはフォルダやファイルの管理・整理という面倒な作業から解放され、手軽にパソコンを取り扱うことが可能になっています。
Windowsのファイルシステムは「NTFS」が主流です。Macでは「HFS+」が一般的で過去には「HFS」が使用されていました。Linuxでは「XFS」「EXT4」などが有名です。デジカメのメディアでよく使用される「FAT32」「exFAT」は、ほとんどのOSで使用可能です。

主なファイルシステム

次世代のファイルシステム

現在主流の「NTFS」や「HFS+」は20年前に設計されたファイルシステムです。その間にはさまざまな技術革新がなされ、新しく実用化された技術や概念も数多くありますが、ファイルシステムはOSの根幹にかかわる機能のため頻繁な刷新はできません。既存環境との互換性を維持しながら大幅な機能改善するというのはなかなか難しく、そういった新機能はファイルシステムに直接組み込むのではなく、オプションとして外から動作する形式で実装されてきました。

しかしファイルシステム自身の更新を伴わない機能追加は、制限や制約があり利便性も悪く、またソースコードが複雑化することで、ファイルシステム自体の管理性や拡張性にも限界が生まれます。そのため、設計段階から最適化した形で機能が導入された次世代のファイルシステムが求められるようになりました。

次世代ファイルシステムの機能

2000年代以降に登場したファイルシステムには以下の機能が追加されています。
既存のシステムでも同様の機能が備わっていますが、ファイルシステムに直接組み込むことで、制限や制約が少なくパフォーマンスの低下も抑えた状態で利用が可能になります。

マルチボリュームへの対応

マルチボリュームは、複数のドライブをまとめて、大容量のドライブに見せかけることができる機能です。
新しいドライブを追加するだけで、簡単に容量を増やせるようになっています。ファイルシステム自体にRAIDの機能が組込まれているので、冗長性を持たせることも可能です。

●RAIDについて
https://www.rescue-center.jp/explanation/raid/

コピーオンライト(Copy-On-Write)

ファイルをコピーした際に、通常はコピー先のデータもディスク容量を使用しますが、コピーオンライトが実装されたファイルシステム上ではコピーの要求があった際、実際のコピー作業は後回しにして、書き換えが発生したタイミングで複製処理を行います。コピー速度が著しく向上することはもちろんのこと、実際にコピーしても使わないことはよくあるのでリソースの節約に繋がります。

通常のコピーでは、それぞれのファイルが同じ要領の保存領域を使用するが、コピーオンライトでは内容が書き換わった時点で実際のディスク領域を使用する

スナップショット

スナップショットは取得した瞬間のデータのコピーを保持する機能です。コピーオンライトの機能を応用しているので、データ領域のコピーまでは行わず、その後に修正したファイルだけが別領域に分けて保存される仕組みです。毎日スナップショットを取っていてもディスク領域を大きく消費することはありません。

スナップショット

バックアップに使えそうな機能ですがバックアップとしては不十分です。スナップショットは同じドライブ上に保持されるので、ドライブが故障すると元データと同時にスナップショットも失われてしまいます。別メディアへのバックアップはスナップショットと併用する必要があります。スナップショット機能はハード的な故障には対応できませんが、誤削除や上書き時に失われたデータは過去のスナップショット取り戻すことが可能です。

データ整合性の自動チェックと自動修復

ファイルやファイルシステムの損傷をチェックする機能です。チェックサム付加することで、従来のものより精度があがっています。また随時バックグラウンドで自動実行され、修復の機能も備えています。

容量上限の緩和

Windowsで現在使用されているNTFSの仕様は1ボリュームおよび1ファイルあたりの最大容量が256テラバイト(TB)となっています。現在市販されているHDDの容量が数TBであることを考えると、ほぼ無制限に近い仕様となっていますが、マルチボリュームで大量のHDDを一台にまとめた場合に上限に到達する可能性があります。
それに対し、UNIXで実装されたZFSは最大ファイルサイズ16エクサバイト(エクサバイトはテラバイトの約100万倍)、最大ボリュームサイズ256ゼタバイト(ゼタバイトはエクサバイトの約1,000倍)という途方もない数字となっています。これは2019年現在の全世界にあるデジタルデータの総量を超えていて、制限が実質的に存在しないレベルになっています。
また、扱うことができるファイル数も膨大となっており、AppleのAPFSは900京個(900×10,000兆個)のファイルを1ボリューム内で管理でき、ほぼ無限のファイルを扱えると言っても過言ではありません。

ZFS

ZFS

次世代ファイルシステムとして最初に名を上げたのは2005年に発表されたUNIX(Solaris)用の「ZFS」です。当時としては先進的な機能をいくつも備えていました。
しかし残念なことに、「ZFS」はその機能性とは別の部分、ライセンスの制約や特許の問題でのトラブルがあり、将来性に不安を持たれたことで、限定的な範囲でしか広まりませんでした。ライセンスの都合で公式には採用されていませんが、LinuxでもZFSは使用可能です。

ReFS(Resilient File System)

ReFS(Resilient File System)

2012年にMicrosoftがWindows Server用に公開したのが「ReFS」です。
直訳すると『弾力性がある(回復性がある)ファイルシステム』となります。
とくに信頼性・耐障害性の向上と大容量ストレージのサポートが重視されており、効率よりも信頼性を重視した設計になっています。ファイルおよびファイルシステムが壊れにくい工夫がとられており、また壊れてもそれが局所的に収まるよう、チェックと修復を積極的に行える機能も持っています。

●Microsoft:ReFSの概要
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-server/storage/refs/refs-overview

ただし、従来の「NTFS」が持っているいくつかの機能が備わっていません。とくに起動用のパーティションとして利用できないため、当初は後継ではなく別物であるという指摘もありました。
最初に導入されたのは業務用OSの「Windows Server 2012」です。それ以降もバージョンアップを重ねていますが、今後の正式導入の予定もワークステーション向けとされている「Windows 10 Enterprise」「Windows 10 Pro for Workstations」などのバージョンが前提で、一般ユーザーが気軽に使えるようにはなっていません。

しかし、このような業務用OSで数年単位の時間をかけ検証を繰り返した後に、一般ユーザー向けに公開していく手順は、20年前にWindows98まで使われていた「FAT」からWindowsNTで使われていた「NTFS」に切り替わった流れと同じものであるため、近いうちに全面的に切り替わっていくと予想されています。

●OS【Operating System】オペレーティングシステムについて
https://www.rescue-center.jp/explanation/os/

APFS(Apple File System)

APFS(Apple File System)

2017年3月にAppleは独自のファイルシステムAPFSを自社OSに搭載しました。
「APFS」は「ReFS」と異なり、既に一般向けに公開されており利用も進められています。macOSでは10.13(High Sierra)から利用可能です。iPhoneやiPadで使用されているiOSでは10.3から正式に採用されています。現在、Apple WatchやApple TVなど、データ保存領域を持つApple製品のファイルシステムはすべてAPFSで統一されています。

●Apple:APFS フォーマット
https://support.apple.com/ja-jp/guide/disk-utility/aside/glose9c04d04/18.0/mac/10.14

「ReFS」と同様に次世代ファイルシステムの各種要件を引き継いでいますが、「ZFS」にはない暗号化機能を組み込むなど、個人ユーザー向けの機能も率先して追加されています。またmacOSではSSDを内蔵したモデルが主流になっていることから、コピーオンライト機能により、無駄な書き換え回数が減ることでSSDの寿命が縮むのを防げるためAPFSへの移行を積極的に進めているようです。

他にクラッシュ時の破損予防としてデータの書き換えは直接行うのではなく、一旦別の領域にデータを作成してから、元のデータ領域を差し替える処理に変更することで、トラブル発生時の破損の可能性が減る仕組みも備えています(「ReFS」も同様機能を備えています)。

新ファイルシステム導入時の注意事項

安全性・信頼性が高まった新しいファイルシステムですが、もちろん良いことばかりではありません。
「ReFS」も「APFS」も導入当初は一部のアプリケーションを使用する際での不具合などがいくつも報告されていました。修正は行われていますが、今後も思わぬトラブルが発生する可能性は捨てきれません。

また以前のバージョンのOSでは読み書きができないというのも大きな問題点です。「ReFS」はWindows8.1やWindows10では対応していますが、Windows7以前のOSは未対応です。「APFS」も、macOS10.11(El Capitan)以前のOSでは読み書きに対応していません。
職場や学校など、複数のOSのバージョンが混在している環境で新ファイルシステムにした外付けのメディアにデータを保存すると、OSによっては開けないケースも発生します。
外付けのメディアに新ファイルシステムでフォーマットする際は使い分けにご注意ください。

弊社では「ReFS」や「APFS」のような新しいファイルシステムにあわせたデータ復旧技術、プログラムの開発も引き続き行っています。トラブル発生の際はお気軽にご相談ください。

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