など、ファイルにアクセスできても、実際に開くとファイルが破損しているという問い合わせをよくいただきます。
この時どのようなトラブルが発生しているのでしょうか?
一般的にアクセス速度が低下する時は、リードエラーなどのメディア上の物理的な障害、接続機器やPCなどのデバイス側の問題、システム(OS)が不安定など様々な要因があります。
通常はこのような状態に陥っても適切な処置を施しながら、時間をかけてトライを繰り返すことでデータを正常に読み出すことが可能になるケースも多くあります。
しかし最近、正常にアクセスできているように見えても、破損した状態でしかデータを取り出せないSDカード・microSDカードが見受けられるようになってきました。
メモリチップにトラブルが発生していることは確実ですが、そのエラーが表面上にはっきりと出てこないため正確な原因は不明です。よく見受けられる症状としては、リードエラーが発生していないにも関わらずアクセス速度が著しく低下することが多いことが判明しています。
下記は異なるカードに対して、同じ環境・接続機器を用いてセクターのエラーを調査したものです。
カード①はアクセス速度が毎秒22MB程度となっており、USB2.0接続した際の一般的な速度がでていますが、カード②は毎秒2MB程度となり、一般的なアクセス速度の10分の1程度しかでていません。
セクターのリードエラーが大量に発生している場合に速度が遅くなるケースは珍しくありません。リードエラーが発生すると、通常は同じセクターに何度もリトライをかけて繰り返し読み直しを試みるためです。
しかしこのケースの場合、赤色の”Damaged”表記ではなく、緑色の”OK”表記になっており、リードエラーが発生していない正常なメモリカードとして認識されています。しかし実際にはメモリチップそれ自体に問題が発生しており、カード②内のファイルはその殆どが破損している状態になっていました。
この状態からのデータ復旧は非常に難易度が高く、復旧は可能でも部分的になるケースがあります。画像ファイルの場合でしたら、サムネイル画像部のみを復旧するというような対応となるケースがあります。
一般的に画像・文書・動画・メールどのようなデータにも、それぞれ定型の書式を持っています。例えば画像ファイルは「EXIF」と呼ばれる撮影条件(日時・カメラモデルなど)に関する情報を保持しています。これはファイルプロパティなどから簡単に確認することができます。
動画にも同じような定型書式の情報が存在しますが、動画の形式や撮影機器のメーカーによって形式が異なるうえPC上の項目として表示されない場合も多いため、目にすることも少ないと思われます。
上記以外にもファイルの先頭には固有の記述があることが多く、データ復旧を行う際の重要な手掛かりとなります。
一般的な動画形式であるMP4やMTSを例にすると次の図のようになります。
パソコンでデータを再生・展開する際に、これらの情報を最初に参照して、読み取りを行うのですが、なんらかの障害が発生して、情報の消失や書換えが発生すると、再生するソフトウェア側が「これは動画ではない」・「これはWordファイルではない」と判断し再生・展開ができなくなります。
人が最初に書類のタイトルや表紙を見て、中身も揃っているかどうかを推測するようなもので、表紙がないというだけで、再生ができないファイルとして評価されてしまうことがあるわけです。
特に動画データの場合はそういったトラブルが発生しやすく、ファイル自体は存在していても、実際には再生できない動画データの復旧、復元に関するご相談はよくお受けします。
動画ファイル生成の仕組みとして、再生時間の長さや音声の位置などのメタ情報はまだ未確定のため、撮影が開始されてもその情報は未記入のままとなります。一方で動画データの書き込みはリアルタイムに行われます。そして、録画終了時にメタ情報部分が書き込まれることになります。
そのため、バッテリー切れや落下などのアクシデントによる異常終了で撮影が止まり、先頭の情報部分の書き込みが間に合わなかった場合、動画の実データ部分は存在するのに再生できないファイルが生成されることになります。
なお、弊社ではこれらの中途半端な形で保存された動画ファイルでも、情報を補完することにより、再生可能な状態にする動画修復にも対応しております。お困りの際にはお気軽にご相談ください。
ドローンによる空撮映像・GoProなどに代表されるアクションカメラ・ドライブレコーダー・監視カメラなどの場合、通常のビデオカメラ等での撮影状況とは環境が大きく異なるため、一般の形式とは異なった特殊な動画形式が使用されている場合があり、特に監視カメラに関しては、専用の再生ツールがないと再生ができないデータの場合すらあります。
そのようなデータの場合、アクシデントやトラブル発生時には復旧ソフトでは復旧できないことが多々あります。
特に削除・フォーマットを行った場合には、フォルダ・ファイルの構造情報が丸ごと失われる可能性が高く、動画ファイル固有の情報をもとに切り出ししながらのデータ回収しか行えないケースがあります。
そうやって取り出したファイルは、上記の動画の定型情報が消えているのと同じような状態となってしまうことがあり、そうなるとファイルが見つかっても、中途半端な状態のため再生ができないファイルになります。
こういった特殊な動画ファイルについては、それぞれの動画の形式を正確に把握したうえで足りない情報を補完することや繋ぎあわせて正常な状態に戻さないと再生可能な状態にはなりません。
データレスキューセンターではメーカーや機種に応じた特殊な修復作業も数多く実施しノウハウを蓄積しております。画像・動画データ復旧が必要となった際には、データレスキューセンターへのご依頼をご検討いただければ幸いです。