人為的なデータ消失の最たる例であるデータの上書き。今まではデータの取り込み漏れなどの典型的なパターンが多かったですが、最近新たな傾向がみられるようになりました。まずは、今までよく見られた主なケースをご紹介します。
デジカメで撮影したデータをパソコンに取り込み、結果をよく確認せずにメモリカードをフォーマットして次の撮影に使用してしまっていた。後から一部に取り込み漏れが判明したというようなケース。
対策
取り込みが終わった時点でカード内と取り込んだデータのファイル数・容量が一致することを確認すること、またデータの転送は移動ではなくコピーを使うことです。不意のトラブルで移動中に転送が止まって転送先のファイルが消失したとしても、また最初からやり直しがききます。
パソコン内のHDDの容量が足りないなどの理由で外付けHDDを増設するケースは多いかと思います。動作が遅いなどの理由でパソコン自体が不調となった場合にパソコンをリカバリする際に、誤って外付けHDD側に新たなOSを書き込んでしまったケースもあります。
対策
リカバリなど大きな変更・修復をする際には外付けHDDなどはパソコンから物理的に取り外して、できるだけパソコン単体になるようなシンプルな状態でリカバリを行うとよいでしょう。
最近よくお問い合わせをいただくケースも幾つか紹介します。すでにデータが存在する媒体に新たにデータを追加したつもりが、意図せずに全く別のデータに書き換わってしまったという例です。
これらで共通して言えることは、TV録画データやWindows10のインストールメディア、PCのバックアップデータなどの特殊なデータを使用中の外付けHDDやUSBメモリに保存しようとすると、元々入っていたデータが消されてしまうということです。
case01では、パソコンで使用されるファイルシステムと、TV録画用のファイルシステムが全く異なるので、そもそもデータの共存自体が不可能となります。
最近の外付けHDDのパッケージ等に記載されている「PC・TVともに対応している」という記載は「PCとTVのデータを同時に保存できる」という意味ではなく、どちらか片方で使うことを想定したものであり、PCとTVの録画データが共存できるという意味ではありません。
case02でも、Microsoftのダウンロードサイトに「8GB 以上の空き領域がある空のUSBフラッシュドライブか、空のDVD(およびDVD書き込み用ドライブ) を用意してください。ディスク上のコンテンツはすべて削除されるため、空のUSBまたはDVDを使うことをお勧めします」との明記があります。
case03では例えばMacのTimeMachine機能があります。OSとユーザデータのどちらも定期的にバックアップを取得し、任意の日付までさかのぼってデータを取り出せる、本当にタイムマシーンのような機能です。
Windowsでも同様に“回復ドライブ”という機能があり、外付けHDDやUSBメモリ等の外部メディアに、PC本体のトラブルを診断するファイルと、リカバリ領域内のイメージデータを保存します。
これらの機能は、先の2の例と同じく、すでにメディア内に保存されていたデータをすべて消去したうえで、PCのバックアップデータが保存されるので注意が必要です。
対策
データ保存用と、TV録画用やバックアップメディア等の特別な用途に使うメディアは完全に別物を用意することをお勧めします。
また外付けHDDやUSBメモリに不具合が発生し、それを修復しようとして誤って回復ドライブなどに書き換えてしまったという問合わせも多くあります。回復ドライブはWindowsを回復するためのもので、壊れたUSBメモリなどのメディアを回復させるためのものではないのでご注意ください。
※不具合が発生した際に、あれこれ触って余計に壊してしまうケースがよくあります。検証は最低限に済ませ悪化させてしまう前にご相談ください。
意図せずデータの上書きになってしまった場合でも、上書きの度合いが少なければデータを復旧できる可能性は十分見込めます。あきらめてしまう前に、データレスキューセンターにご相談ください。