ハードディスクやUSBメモリ、SDカードなどのデータ容量として、ギガバイト(GB)、テラバイト(TB)といった単位を目にすることがありますが、その単位の意味を正しく理解されている方は以外と少ないのではないでしょうか。GBやTBはデータ容量の単位と呼ばれるもので、数字が大きいほど、より多くのデータを扱えます。
データの最小単位はビット(bit)で、1bitは、0と1の2種類の状態を示します。2ビットであれば2×2で4種類、3ビットでは2×2×2で8種類となります。データ容量としてbitを使うことはほとんどなく、もう少しデータ量の多い1バイト(byte)単位で扱うのが一般的です。1バイトは8ビット、つまり2の8乗=256種類の情報を扱える単位となります。
1バイトでは、せいぜい1文字程度の情報しか扱えないので、より大きな単位にする必要があります。1,000倍を示す補助単位キロ(K)を付けてキロバイト(KB)、1,000,000倍を示す補助単位メガ(M)を付けてメガバイト(MB)といった感じに、補助単位を添えるのが一般的です。
一般的にはテラバイトまでがよく目にする単位ですが、GoogleやFacebookが保持するデータ量や、世界中の年間データ通信量などを表現する時には、さらに上のペタバイト、エクサバイトを用いることもあります。
ハードディスクの製造技術は年々進化していて、大容量化が進んでいます。
1956年にIBMが開発したコンピュータシステムに組み込まれたIBM350が世界初のハードディスクで、その容量はわずか約4.4MBでした。一般家庭にハードディスクが広まったのは1980年代以降で、初期のハードディスクは数十~数百MBという今となっては小さな容量しかありません。
Windows95の発売前後にハードディスク容量はGBクラスに達し、2005年には500GB、2007年には1TBの容量のハードディスクが登場しています。その後はおおよそ2年おきに2倍ずつ容量を増やしていますが、そろそろ容量も頭打ちになるのではないかと言われています。
ハードディスクの容量が増えるにしたがって、データを管理するための規格(ファイルシステム)も新しくなっています。
例えば、Windowsの前身であるMS-DOSが登場した最初の頃はFAT12というファイルシステムが使用されていて、1パーテーションあたり32MBまでしか扱うことができませんでした。その後、2GBまで扱えるFAT16、2TBまで扱えるFAT32、16TBまで扱えるNTFSなどの新しいファイルシステムが登場しています。
ハードディスクの容量は、製品に記載された容量とパソコンで表示される容量が合わないことがあります。例えば1TBのハードディスクを買ってきたのに、パソコンで容量を見ると931GBの容量しかないと表示されます。
これは、ギガやテラなどの補助単位の解釈の違いによるものです。
計算機の世界では、2の倍数のほうが処理をしやすいため、1,000バイトと1,024バイトを明確に区別するため、キロバイト(kilobyte=KB)ではなく、キビバイト(kibibyte=KiB)と表現することもあります。同様に、1,024キビバイトはメビバイト(mebibyte=MiB)、1,024メビバイトはギビバイト(gibibyte=GiB)といった感じに表現します。
1KBと1KiBは2.4%しか差がありませんが、容量が大きくなると差が激しくなり、1TBと1TiBは10%近く差が出ることになります。ハードディスクのパッケージには1TBと記載されているのに対し、パソコンの画面には2の倍数基準で計算された931GB(正しくは931GiB)の容量が表示されるわけです。
一方、SDカードやUSBメモリ、SSDといったフラッシュメモリを使用した記録媒体はハードディスクとは異なり、製品自体もGiB単位の容量が記載されているため、パソコンの画面上で見る容量が大きく食い違うことはありません。
ハードディスク以外の記録メディアも、年々容量を増やしています。
USBフラッシュメモリは、2000年頃に初めて登場しました。最初のモデルは16MBや32MBなど小容量のものが主流で、1GBの容量に達したのは2004年のことでした。その後、おおむね1年ごとに容量が倍増し、2009年には256GBの製品が発売され、2013年には1TBのUSBメモリも登場しています。
SDカードは2000年にカメラやオーディオプレイヤ向けに発売され、当初は64MBが最大の容量でした。最初のSD規格では、2GBが限界でしたが、2006年には32GBまで対応するSDHCカードが発表され、実際に2008年には32GBのカードも発売されました。さらに、2009年には2TBまで対応できるSDXCカードが発表されましたが、実際の製品は2016年現在、512GBまでしか発売されていません。
フラッシュメモリを搭載し、最近ハードディスクと置き換えられて使用されることの多いSSDは、1990年代に登場した時点では容量も数十MBであまり普及することはありませんでした。2010年代になってから64GBのモデルが登場し、それ以降大容量化が進み、現在ではハードディスクの容量を超える16TBのモデルも非常に高額ではありますが存在しています。