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Vol.12 データの削除・フォーマットについて|データ復旧

データの削除・フォーマットについて

パソコンやUSBメモリ、SDカードなどの記録媒体をご利用の方で、必要なデータを誤って削除してしまった、バックアップをとったつもりでフォーマットしたが、バックアップがとれておらず重要なデータが消えてしまったなどのご依頼が弊社では多数ございます。
削除やフォーマットされた場合でも、その後のご利用状況によってはデータ復旧が可能です。ではどうして、削除やフォーマットしたデータの復旧が可能なのでしょうか。

削除とは

パソコンでファイルを削除した場合、通常はファイルがごみ箱に移動されます。この時点では、ごみ箱フォルダを開いてファイルを元の場所に戻せますが、「ごみ箱を空にする」を実行するとファイルは消えてしまいます。
削除したファイルは、パソコン上からは見ることができなくなっていますが、実際には記録媒体のなかにはデータの痕跡はまだ残っています。

パソコンのHDDやUSBメモリ、デジカメのSDカード等にはファイルやフォルダの名前、属性、データを保存している場所を記録する管理領域と実際にデータが書き込まれているデータ領域に分かれています。

管理領域とデータ領域

FAT32という形式でフォーマットされたUSBメモリに「猫.txt」という名前のファイルを保存して、削除した場合のデータの状態をみてみましょう。この「猫.txt」の中身は、夏目漱石の「吾輩は猫である」の冒頭部分を記録したものです。

「猫.txt」

ファイルアロケーションテーブル(FAT)と呼ばれる管理領域部分は次のような状態になっています。画面左部分は書き込まれたデータを16進数で表したもので、右側はそれを文字情報に置き換えたものです。

「ファイルアロケーションテーブル(FAT) 管理領域部分(削除前)

この部分にはファイル名などの情報が保存されていて赤く囲んだ部分に「猫 TXT」のファイル名が見えます。青く囲んだ「94 4C」の部分は漢字の「猫」に該当する文字コードです。

データ領域部分(削除前)

それに対し、データ領域部分にはファイルの中に記載されている実際のデータそのものが保存されています。赤く囲まれた部分を見ると、ファイルの中身がそのままデータ領域に書き込まれていることがわかります。

つまり、データの管理する領域と、実際のデータが入っている領域は異なります。

管理領域部分(削除後)

そこで、このファイル(猫.txt)を削除すると、USBメモリの管理領域部分からはファイル名の情報の一部が書き換わります。赤く囲んだファイル名の先頭が文字化けしており、青く囲んだ部分は、もともと「94」で始まっていたところが「E5」に置き換えられています。この先頭部分につけられた「E5」が削除ファイルであることを表しています。

データ領域部分(削除後)

一方、実際のデータが記憶されている領域は削除の影響を受けずに残ったままです。

削除を行っても、データ領域部分はなにも変更されていません。削除済みのファイルと認識されているため、パソコン上からは見ることができませんが、実際のデータは残っていることが確認できます。

このように、削除しても実データは残っていますが、この領域は自由に書き込みが可能な領域として扱われるため、削除後の記録媒体に新たなデータの書き込みを行うと、管理領域、データ領域ともに書き換えられる可能性がでてきます。
必要なデータを誤って消してしまった場合、その記録媒体を使用せず、パソコンであればすぐにシャットダウンをする、USBメモリやSDカードの場合は、媒体を抜いて使用しないようにすればデータを復旧できる可能性が高くなります。

フォーマットとは

ハードディスクやSDカードなどの記憶媒体にデータを書き込むための準備をすることを「フォーマット」もしくは「初期化」と呼びます。通常はフォーマット済みの状態で記憶媒体は出荷されているので、使用開始時のフォーマット作業は不要ですが、Windowsで使用していたハードディスクをMacで使用したり、テレビ録画などの特殊用途に使用したりする場合はフォーマットが必要となります。
記録媒体をフォーマットすると、中身がすべて消えて初期状態(データが何も入っていない状態)に戻ります。
フォーマットの方法にもよりますが、フォーマットをしても管理領域だけを空の状態にして、実際のデータ部分は残っていることがあります。

管理領域部分(フォーマット後)

FAT32形式のUSBメモリに「猫.txt」を保存後、フォーマットするとファイル名があったはずの管理領域は空の状態になります。0が続いているのは、何も書かれていないという意味です。

データ領域部分(フォーマット後)

一方、フォーマットを行っても、データ領域は中身が書き込まれたままの状態です。

削除と異なりフォーマットの場合は、管理領域が初期化されるため、ファイル名やフォルダ構造が復元できない場合があります。ただファイルシステムによっては、データの整合性をとるため管理領域にある情報が別の領域にあらかじめコピーされている場合があります。そのためフォーマットされた場合でもファイル名やフォルダ名などの構造情報が取得できる場合があります。
このように削除した場合と同様、フォーマットを行った媒体でも、データ領域には実際のデータが残っており、その後ご利用されていなければデータの復旧ができる可能性が十分ございます。

完全削除、物理フォーマットとは

削除やフォーマットの場合、データの復旧ができる可能性が十分あるのですが、完全削除や物理フォーマットを行った場合はこの限りではありません。
通常WindowsやMacintoshでの削除の場合はデータが残っていますが、データを完全に削除してしまうセキュリティ対策ソフト等を使った完全削除などの場合、データの領域に「00」や完全ランダムなデータを上書きで保存してしまいます。また一部デジタルカメラやビデオカメラにも削除時にデータ領域をすべて書き換える、完全削除を行う機種も存在しています。完全に上書きされてしまい、以前の痕跡が残らないためデータの復旧ができなくなります。

フォーマットについては、クイックフォーマットと物理フォーマットの2種類があります。クイックフォーマットは管理領域のみを初期状態に戻しますが、物理フォーマットの場合はデータ領域自体も初期状態に戻してしまうため、フォーマットが完了するまでに時間がかかります。当然データ領域に痕跡も残らないので、完全削除と同様、復旧は不可能となります。

復旧の可能性

弊社では、削除やフォーマットされたパソコンやSDカード、USBメモリ等のデータ復旧事例が多数ございますので、万が一の際はお気軽にご相談ください。

3つのお約束

データ復旧のウソ?ホント?

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