SDカードについて|データ復旧、復元

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SDカードについて|データ復旧、復元

SDカードの歴史概略

SDカードの外観

SDカード(SD Memory Card)は、フラッシュメモリーに属するメモリーカードです。SDメモリーカードとも呼ばれます。もともと、SDカードは、マルチメディアカード(MMC)の上位互換で、非常に簡素な構造と技術を利用し、扱いやすい大きさ、誤消去防止用のプロテクトスイッチ、SD Music Initiative(Secure Digital Music Initiative, SDMI)準拠の著作権保護機能など、家電などにおける幅広い用途を意識した製品です。

データの記録にはフラッシュメモリが使用されています。モーター回転部などの駆動部がないため衝撃に強い、小型で可搬性に優れる、といった利点がありますが、その原理と性質上、データを長期間に渡って保存したり、書き換え頻度の高い用途での使用には適さない記録媒体でもあります。

SDカードは、1999年に東芝、松下電器産業(現・パナソニック)、サンディスクの3社による共同開発規格として発表され、2000年に「SDカードアソシエーション(SD Card Association, SDA)」が設立されました。当初の製品は、8MBや16MB程度と今ではほとんど見かけることの無い容量の製品でしたが、順次サイズが拡張されていき、2002年ごろに512MB、2004年に1GBの製品が発売されました。

取り扱いが簡易であったこと、他の競合規格に比べて参入企業が多く、容量増加の対応も積極的で値段も抑えられていたことなどから、2005年頃にはメモリカードの中でのトップシェアとなります。ただしSDカードでは、FAT16の制限で2GBまでというのが上限となっており、上位のFAT32に対応させるため次の規格に移ることになります。

2006年にアメリカの「2006 International CES」において、SDカードの規格限界容量である最大32GBを規定した「SDHCカード」が発表、発売されました。

SDHCカードでは、ファイルシステムをFAT32に対応させ最大32GBまでの大容量化が可能となり、同時に、動画撮影などに対応するために最低保証転送速度を規定しクラス分けを行ったSDHC(SD High Capacity)という仕様が策定されました。データ転送速度の目安として「SDスピードクラス」が定められ、基準を元にこのスピードクラスのロゴを明示することで、消費者がその用途にあったスピードクラスのカードを選択可能にしています。

2006年ごろに8GB、2007年ごろに16GB、2008年には32GBの製品が登場しています。

SDHCカードはファイルシステムとしてFAT32を採用していたため、規格上の最大容量は32GBとなっています。しかし、デジタルカメラの高画素化やハイビジョン動画撮影機能の登場によって、大容量化が求められるようになりました。

2009年にはSDカードの規格策定団体である「SDカードアソシエーション」において、64GB以上の記憶容量に対応する規格として、ファイルシステムにexFATを採用し、転送速度の高速化を図ったSDXC(SD eXtended Capacity)という仕様が策定されました。規格に関してはファイルシステムにexFATを採用することで記憶容量を最大で2TB(2048GB)、データ転送速度は300MB/sまで拡張されています。

2010年ごろに64GB、2011年ごろに128GB、2014年ごろには512GBの製品化がされましたが、それ以上の大容量化についてはさらなる技術革新が必要とされています。2016年ごろには1TBのプロトタイプが公開されていますが、2TBの上限に達するにはまだ数年以上はかかる見通しです。

なおSD/SDHC/SDXCカードは物理的な形状は従来のものを引き継いでおり、対応機器側も上位互換性を保持しています。そのためSDXC対応機器でSD/SDHCカードを扱うことが可能です。ただし逆の接続には注意が必要です。SDXC規格に対応していない機器にSDXCカードを挿入すると内部のデータ構造が破損する可能性があり、メーカーも使用を推奨していません。exFATでフォーマットをしなおせば再利用は可能ですが、データが失われてしまいますのでデータの復旧をご希望される場合はお気軽にご相談ください。

SDスピードクラスに関して

SDカードの通信速度の最低保証レートとして設定されているSDスピードクラスは、使用する機器に適したものを使用することが推奨されています。
通常の写真撮影時にはSDスピードクラスを気にすることはありませんが、高画質の連続写真撮影時や動画などを撮影する場合には短時間で大量のデータを書込む必要があるため、転送速度が速いSDスピードクラスのSDカードが推奨されています。
特にRAW形式の連続写真を撮影が必要な場合には、転送速度が速ければ速いほど次の撮影が可能となり、フルHDの動画を撮影する場合にはクラス6以上のSDスピードクラスを推奨されています。 また、4K動画が撮影可能なカメラやスマートホンは、クラス10以上のSDスピードクラスのSDカード使用が推奨されている場合もあります。

マーク 連続データ書き込み時の最低速度
UHSスピードクラス UHSスピードクラスマーク 30MB/秒 30MB/秒
UHSスピードクラスマーク 10MB/秒 10MB/秒
スピードクラス スピードクラスマーク 10MB/秒 10MB/秒
スピードクラスマーク 6MB/秒 6MB/秒
スピードクラスマーク 4MB/秒 4MB/秒
スピードクラスマーク 2MB/秒 2MB/秒

さらに高速の転送を必要とする機器のために、従来のSDカードと互換性のあるUHS(Ultra High Speed)規格のカードも登場しています。物理規格としてはUHS-IとUHS-IIの2種類あり、転送速度についてはUHSスピードクラス1〜3の製品があります。SDカードと使用している機器の両方でUHS規格に対応している必要があります。
UHS-IIカードは、高速通信に対応するために接続端子数が増えていますが、従来のSDカードと同じ端子も残っています。そのため、UHS-IIに対応していない従来機器での動作も可能ですが、その場合はSDスピードクラスの速度での動作となります。UHS-I/UHS-IIのSDカードを使用する際には、機器側が対応しているか確認が必要となります。

SDアプリケーションパフォーマンスクラスに関して

一般的に、SDカードは写真や動画などの比較的大きなデータを一度に書き込んだり読み込んだりする用途が多く、シーケンシャルアクセス速度が重要視されています。シーケンシャルとは、「連続した」という意味です。
一方、microSDカードではAndorid6.0以降で、スマートフォンの内部ストレージと同様にアプリケーションのインストールや実行が可能になりました。アプリのデータは、一つ一つのファイルが写真や動画と比べて非常に小さく数が多いため、シーケンシャルアクセス速度ではなく、無作為にアクセスした際のランダムアクセス速度が重要視されます。内蔵ストレージと比べてランダムアクセス速度が劣るmicroSDカードが多く存在することから、性能を保証するためにランダムアクセス速度の規格として「SDアプリケーションパフォーマンスクラス」が新たに設けられました
ランダムリード、ランダムライト速度は1秒あたりのアクセス数を示す「IPOS」という単位で示され、一定の基準を満たすと「A1」「A2」のロゴマークを提示できるようになりました。

アプリケーション
パフォーマンス
クラス
ランダムリード
最低処理速度
ランダムライト
最低処理速度
シーケンシャル
最低処理速度
クラス1(A1) 1500 IOPS 500 IOPS 10MB/秒
クラス2(A2) 4000 IOPS 2000 IOPS 10MB/秒

SDカードの主なメーカー

SDカードがシェアを取った理由の一つとして、参入企業の多さが挙げられますが、多数のメーカーが販売しており、主なメーカーとして、以下の会社があります。

SDカードは、サイズに物理的な規定もあるため、USBメモリのようなユニークな外観を持つものもなく、表面の色やロゴマークの違い程度でメーカーごとに大きな特色はありません。メモリサイズの小型化と可搬性の高さから、紛失または盗難の危険性が高く、機密情報の漏洩(顧客情報等の個人情報漏洩事故)に繋がりやすいため、セキュリティ上のリスクもあります。また、乳幼児などが誤飲する危険性もありますが、中には誤飲防止のため、本体に苦味剤を塗布している製品があります。

デジタルカメラの主なメーカー

デジタルカメラは大きく分けて以下の3種類があります。

コンパクト・デジタルカメラ:レンズ交換ができないカメラ

ミラーレス一眼カメラ:レンズ交換が可能ですが、光学式ファインダーが無く、電子式ファインダーのみとなるカメラ
デジタル一眼レフカメラ:レンズ交換が可能で、光学式ファインダーを持つ、今までのフィルム一眼レフカメラをデジタル化したカメラ

どのカメラもまれに内蔵メモリを持ちますが、基本的にはSDカードやコンパクトフラッシュなどにデータを保存するようになっています。フィルムカメラに較べると電子機器的な要素を多く含むため、旧来のカメラメーカーに加えて、家電・電子機器メーカーも参入して様々な製品が発売されています。主なメーカーとして、以下の会社があります。

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