従来パソコンで行われていた資料作りや写真・動画の編集、データのやり取りなど簡単なものであれば、スマートフォンやタブレットで行うケースも増えてきました。
携帯端末は持ち運びなどの利便性は高いですが、どうしても機能的にパソコンには劣るところもあります。しかし例えば入力用にキーボードを接続し、データの保存用にUSBメモリを付けるなどの工夫をしていけば、ほぼパソコンと同様の使い方も可能です。
当初はできなかったこういった使い方が可能になったのは、「OTG」という仕組みが追加されてからのことです。
OTGとは “USB機器同士を接続し、使用するためのUSBインターフェース規格”のことを言います。この規格は、USBの規格制定団体であるUSB IF(Implementers Forum)が2001年12月にUSB2.0に追加する仕様として定めました。正式名称は「USB On-The-Go」で、頭文字をつなげてOTGと略されます。
元々USBの規格では、パソコンがホスト(親)で、USBメモリ等がクライアント(子)という関係を作り、通信や電気の流れを一方通行にすることで、安全に動作する仕組みになっていました。具体的には、パソコンとデジカメ、パソコンとプリンタのように接続し、パソコンを介してデジカメの写真データをプリンタで印刷する形になります。現在でもこの形式はまだ主流になっています。
現在ではパソコンを介さずにデジカメとプリンタを直接接続して印刷をすることも可能になっていますが、当初の設計ではクライアント(子)側から割り込みを通知したいときは、一度挙手をしてホスト(親)に許可をもらうというような手続きが必要で、クライアント(子)同士で接続しても操作はできないようになっていました。
このような面倒な制限があることで、逆にクライアント(子)側はその制限内であれば自由に設計ができるようになり、結果的にUSBに対応した機器は非常にバリエーションが増え、(コスト面の評価などほかの要因もありますが)USB端子というものがパソコン機器において主要な接続インターフェースとなりました。
その後、スマートフォンやタブレットが普及しだすと、クライアント(子)として充電もしたいが、USBメモリやキーボードを接続して操作するというホスト(親)にもなりたいという要望がでるようになり、そこでクライアント(子)同士を直接接続しても動作するようにクライアント(子)とホスト(親)の役割が自動で切り替わるOTGの工夫が生まれたのです。
本来のUSBの信号線はデータ線(±)と電源線(±)で4本使用しますが、mini-USBやmicro-USBコネクタからは、5番目の線が用意されるようになりました。この信号線が「ID」を持っており、現在ホストなのかクライアントなのかの判別をつけて動作を切り替えることを可能にしています。
当初の設計では、OTG機能が有る無しのハードウェアが混在していたのでコネクタの形状を微妙に変えることで、OTGが無いケーブルが接続されないよう物理的に区別をつけていましたが、2011年頃からはほとんどのUSB接続が可能な製品はOTG搭載が前提となってきたのでコネクタの形状も一本化されています。
このOTG機能を活用すれば、パソコンがなくても複数のUSB周辺機器を同時に接続・使用できるようになり、考えられていた要望がかなうようになりました。
※USBの接続に際してはスマートフォン・アイフォン、タブレット側のUSBコネクタの形状にあわせた変換アダプタが必要になる場合があります。
※またホスト側から機器に電源を供給することになるので、バッテリーはいつも以上に減ることになります。バッテリー切れに注意してください。
このように、スマートフォンやタブレットで少し不便なことや、億劫な作業もありましたがOTG機能を活用することで解消することが増えています。
特にデータ整理等を含むバックアップなどはパソコンを介さなくても容易になっていますが、しかし、バックアップをとっていたとしても、記録媒体に障害が発生しないという確約はありません。本体とUSBメモリにも保存したから、データの保管は大丈夫と思わずクラウドストレージでのバックアップなど複数の手段・媒体でデータの管理を行うことをお勧めします。
データレスキューセンターでは、スマートフォン本体からのデータ復旧は対象とはなりませんが、microSDカードやUSBメモリからのデータ復旧サービスを行っています。
複数のバックアップを取っていたけれども、障害でデータが見られなくなってしまったなどあれば、お気軽にお問合せください。